思い出さないように忘れないように

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2009年 06月 02日

第一コーナーだけん

「あんね、俺ね第一コーナーだけんね、だけん、不利だん、第一コーナーてね、いっちばーん後ろとたい、だけん、俺が、俺ね、結構がんばって走るとたい、すっげー走るけど、第一コーナーはね、後ろからのスタートだけん、追いつかんもん、あーあー俺不利だん、第一コーナーじゃなかったら、おれドベじゃないのに、ずりーもんねー、第六コーナーはね、ずーと先からスタートするとだけん!俺はずーと後ろだん、すげー差があると、知ってる?見たことある? あんなに差があったら追いつけんもんねー、俺ががんばって走っても」

運動会の前日の夜の台所で片付け物と明日の弁当の支度をしている母親に
「もうねなさいあしたはやいんだから」いわれながら次男が話していた

俺は運動会のプログラムに子供たちの出番を捜しながら耳を傾ける
風呂上りビール飲みながら話を聞いていた

その場面を思い出しながら

うす曇の空の午前の小学校のグラウンドで目を細める
12組目の第一コーナーで彼は二回フライングして一回こけて
4回目の仕切りなおしで一斉にスタート
走るのが下手な彼をみながら心の中では収まらず彼の名を叫びながら俺は
「はしれー手をふれーがんばれ」と
一番後ろを懸命に駆ける姿に何故涙が出てくるのかわからないし
涙に困りながら、長女を背中におぶりながら
ドベの彼がゴールするのを見ていた5月の間抜けな風の中で
土埃舞う人多きグラウンドで

あのな、俺もそうだよ、自分が第一コーナーで不利だなと思っていたかもしれないよ
今でも、そうかもな、走り方が下手かもしれないな
今は目の前の自分のコースを懸命にゴールがどこかどれぐらい先か
わからないままで、ちゃんと走るよ
他のコーナーには誰もいないくて、一人深夜のグラウンドかもしれない
どうでもいいさ、よーいスタート自分で呟いてスタート
一番後ろから?
よーいスタート 途中の景色なんて見る暇ないぐらいの
俺の持ってる俺の全部を使って走らなきゃ
ゴールになんて届かないだろう

三男の徒競走がはじまる
彼は見事な走りで一位だった

さぁお弁当をみんなでたべよう空の下でみんなでたべよう
飯を食いながら二人ともがんばったねとか言いつつ
嫁が次男に、どこのコーナーでも走る距離はみんな同じだと説明するが
彼はどうにも納得しないのだ
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# by naritaria | 2009-06-02 10:53 | 家族と